こいつはいつか俺の軍人……アインヘルヤルに加えたい。

だが、今こいつを狩ると、この世界が乱れる。

ならばファルが王となり、こいつに優れた軍人を数多く育てさせ、それを頂いた方がいーか。

「シオンを返す見返りはなんだ?」

ファルは即答した。

「もしもその隻眼に嘆いておられるなら、喜んで片眼をさしあげよう。もしもこの黄金を作る腕を求められるなら、潔く切り落とそう」

オーディンはスッと笑いを消すとファルを
隻眼で鋭く見据えた。

「それは随分と思いきった事を言うじゃねーか」

「それでシオンを胸に抱けるなら安いものだ」

胸に抱けるなら……か。