「ダメだ」

オーディンの声を撥ね付けるようにファルが声をあげた。

「世界はいつか必ず俺が平和にする!シオン、俺を信じろ」

「そうだぜ、シオン!シリウスがいなくなった今、アーテス帝国と新しい関係を築くことも出来るかもしれないぜ」

アルゴがそう言い、マーカスも頷いた。

オーディンは、笑いが込み上げるのを必死で抑えた。

人とは善くも悪くも、単純である。

その時、ファルが地に膝をついて頭を垂れた。

「最高神オーディン。どうかシオンを俺に返してくれ」

……ほお。

威風堂々とした未来の王、ファル。