「待たれよ、最高神オーディン」

ファルが声を張り、オーディンを見上げた。

「あ?」

オーディンが隻眼でファルを見据える。

「なんだ」

「シオンを返していただきたい」

シオン……七色の瞳の乙女か。

オーディンは暫く唇を引き結んで考えていたが、やがてニヤリと笑みを浮かべた。

「七色の瞳の乙女は願いを叶えてほしいと言って、俺を呼んだんだ」

オーディンは不敵な笑みを浮かべたまま、ファルを見つめた。

鋭い隻眼を、ファルが見つめ返す。

「全く、わがままな女だぜ。カイルを生き返らせて欲しいとか言いやがってな。却下したが」