グングニルを片手でグルッと回してから肩に水平にして担ぎ、そこに両腕をのせると、オーディンは皆をグルリと見回した。

「見事な戦いだったな、黄金族人間よ。西から攻め入ったダクダ軍が実によかったぜ。俺が見惚れたぐらいだからかなりなものだ。
まあ、王子様も頑張ってたっちゃ頑張ってたがな」

そこまで言うと旋回していた二羽のカラスがオーディンのグングニルに止まり、やがてスレイプニルがゆっくりとオーディンに歩み寄った。

そんなスレイプニルをオーディンが睨む。

「お前、人間乗せて勝手に消えんじゃねーよ」

スレイプニルは頭を左右に揺すりながらオーディンにすり寄り、八本の足の蹄を鳴らした。

シオンは慌ててスレイプニルを見上げた。

「スレイプニル、ありがとう」

「俺に礼はねーのかよ。……まあいいか、俺は行くぜ」