マーカスが八本足のスレイプニルを見て呟くように言った。

スレイプニルは、地に降りたって一度嘶くと、再び膝を折り曲げ背からシオンを下ろした。

ファルが馬を降りてシオンに駆け寄り、その身体を見て抱き締めた。

「無事だったか!」

「うん。私より香が」

シオンはファルから離れると、シリウスに寄り添う香を見つめた。

「香……」

そっと声を掛けると、香がシオンを見つめた。

「最後に、彼を見れたの」

「うん」

それからシリウスの胸に突き刺さったグングニルを見つめた。