オーディンは眼を見開いた。

「おい、マジかよ」

走り寄るシオンに、スレイプニルが膝をおったのだ。

あ……!

身を低くし、乗りやすいように伏せたスレイプニルを、シオンは信じられない思いで見つめた。

「スレイプニル、ありがとう!!」

シオンはスレイプニルの背によじ登ろうと、思い切り床を蹴って跳び上がった。

八本の足を窮屈そうに曲げて屈んだスレイプニルだが、それでも彼の背は高かった。

身体がスレイプニルの背まで届かず、ずり落ちそうになったシオンを、スレイプニルが鼻で押し上げ背に乗せた。

オーディンは眼を見張った。

スレイプニルが、自ら人間を背にのせるとは。