広いフリズスキャルヴを端まで走り、オーディンの愛馬、スレイプニルに駆け寄ると夢中で語りかけた。

「スレイプニル!お願いっ!!私に力を貸して!!」

な、なんだと?!

オーディンは驚いてスレイプニルに駆け寄るシオンの背中を見た。

「こらお前っ!スレイプニルは俺の馬だぞ!勝手に……」

知ってるわよ、あなたの馬なのは!

「後でちゃんと返すわっ!」

だけど、今私に出来ることはこれしかないわ!

それにスレイプニルが答えてくれるかはわからないけど、私は諦めたくない!!

シオンはオーディンなどお構いなしに、死に物狂いで走った。

「スレイプニル、どうかお願い!!」