転がるように馬から降りて、香はシリウスに駆け寄った。

「剣清、剣清!!」

香の切ない呼び掛けが辺りに響く。

「オーディン、私をみんなのところへ連れていって!」

香の側にいてあげたい。

守護する者としての役目を終えて尚、私をかつて愛した男から守ろうとした香を支えてあげたい。

シオンはオーディンに頭を下げた。

「お願い、今すぐ連れていって!」

オーディンはツンと横を向いた。

「やだね。グングニルなら、勝手に帰ってくるし、いく必要ねー」

なら、こうするまでだわ。

シオンは身を翻してオーディンに背を向けた。