幸せそうなカイルをこの眼に焼き付けておきたい。

その時である。

何かが眼の端でキラリと光ったように思い、カイルは顔をあげた。

胸が浮くような、懐かしい香りを嗅ぐような、心地よい感覚。

その輝きを知りたくて、カイルは意識を集中させた。

あ……あれは……。

カイルがシオンを見つけた。

海のような青い瞳が真っ直ぐにシオンを捉える。

視線が絡み、シオンの心臓がドクンと跳ねた。

カイル……!

シオンは夢中でカイルを見つめた。

扉はゆっくりと隙間を縮める。

カイル、カイル。

フワリとカイルが笑った。

紛れもなくシオンだけに向けたその微笑みは、確かに幸せだと告げていた。

さよなら、シオン。

さよなら、カイル。

扉は閉ざされた。

シオンは大きく息をついた。

胸が熱かった。