やがてオーディンは、廊下の突き当たりで足を止めた。

黄金の糸で編み上げた、膝下まである長靴がキラリと光を反射する。

その途端、目の前の大きな両開きの扉がゆっくりと開き出した。

「この奥はヴァルハラという、戦死者の広間だ」

低い声でそう言うとオーディンはゆっくりと振り返り、シオンの瞳を見つめた。

氷よりも冷たい空気がそこから流れ出て、シオンの足元を冷やす。

「戦死者の広間……?」

オーディンは続けた。

「カイルを生き返らせてほしいと言ったな」

シオンは無言で頷いた。

「カイルを生き返らせる事は出来ねえが……特別に会わせてやってもいいぜ」