ファルは、アルゴの言った言葉を頭の中で繰り返した。

『長い槍を持ち、腕には太い黄金の腕輪をはめてた。顔は…青い膜みたいな霧がかかってて…ハッキリとは……だが隻眼だった』

恐らくシオンは自らオーディンを呼んだのだ。

神の捧げ物となり、戦いをやめさせるために。

オーディンは、シオンの望みを叶えるのだろうか。

ファルはきつく眉を寄せると拳を握りしめた。

たとえ相手が神でも、退くわけにはいかない。

……相対せねばならないのだ。

「シオン、待っていろ。必ずお前をこの腕に取り戻す」

ファルは力強く誓った。