「きゃあああっ!!お、落ちるっ!」

ファルは腕一本でシオンの体を抱いた。

「うるさい、黙ってろ」

だ、だめ、怖すぎる!

こんなに怖い乗り物に乗った事なんて、ない!

しかも、振動が身体中の傷に響いてズキズキする。

シオンは次第に脂汗が出てきて歯を食いしばった。

頭がフラフラして、馬の歩みと共に痛みが増す。

あ……もう、ダメかも……。

そう思った直後、シオンは目の前が真っ暗になって、気を失った。