その時である。

勢いよく天幕の入り口が跳ね上がり、鎧姿の兵がひとり、入り口からこちらを覗き込んだ。

戦いが激しさを増していたため、かなり騒がしく、入口の方向を見ていなかったら気付かなかっただろう。

味方の鎧に身を包んだ兵が口を開いた。

「七色の瞳の乙女か?!」

嫌な予感しかしなかった。

何故……聞くの?

ファルの軍の鎧を着ていて、何故そう聞くの……!?

その理由はひとつしかない。

シオンは息をのみながらジリジリと後ずさった。

その様子を見て、兵士は片方の口角を引き上げてニヤリと笑った。