「……うん!」

シオンの身体から放たれていた光は徐々に勢いを失い、次第に薄く消えていった。

身を翻して天幕から飛び出した香の背中を見つめながら、シオンは思った。

今度は私の番だ。

私に出来ることをしなきゃ。

相変わらず辺りには怒号が響き渡り、川の中が掻き回されるような音や、何かが落下するような音が繰り返し耳に届く。

焦げ臭い空気に兵士の叫び声。

みんな、無事だろうか。

いや、皆が無事なわけがない。

たとえ、ファルやアルゴ、マーカスやジュードが無事でも、名も無き戦士が地に膝をつき、その命を散らしているのだ。

黄金族人間も、白金族人間も。