そう言いながら、ファルは手綱をさばく両腕の幅を縮め、シオンと密接した。

シオンは更に焦った。

「きゃあ、マジで待って!」

ファルはイラついて答えた。

「今度はなんだ」

「あんまり、くっつかないで」

なんなんだ、この女は。

「怖いって言ったのはお前だろーが」

「そうなんだけど…」

……意味が分からん。

「おとなしくしてろ。行くぞ」

ファルは馬の腹をクッと蹴り、手綱をさばいて馬を返した。