『貴女の、自分への恋心を利用する為に決まっているではありませんか。
王子はきっとこう思っておいでです。
黄金族人間に世界を預けるように、最高神オーディンに願い出て欲しいと。貴女自身の身を捧げて』

またしてもリラ王女の呪いのような言葉が、シオンの身体を駆け巡った。

やっぱりそうなのかも知れない。

バカみたいに、夢見る少女のように、ファルに恋して舞い上がっているのは自分だけなんだ。

そうよね。

だってファルは、命のやり取りをしているのに。

国と国との戦いの真っ最中に恋だの愛だの言っていられない。

ばかだ、私は。

「ファル、寝台はあなたが使って。
私は香と寝るから。おやすみなさい」