「……俺は……ここでいい」

カシャンと胸で音がした。

ファルの伏せられた眼差しがこう告げている。

抱く気はないと。

……拒まれた。

シオンはゆっくりと眼を閉じてから、唇を噛み締めた。


『あ、そうそう『七色の瞳の乙女』ってさ、処女じゃなくなると力が無くなるのよね。
愛してないなら……国の為に利用するだけなら、肌を重ねようとはしないはず。
……試してみれば?』



試すんじゃなかった。

試すんじゃなかったよ、香。