振り返ると、薄い夜着一枚でこちらを見るファルと眼が合った。

薄い布から浮きだった胸の筋肉や、逞しい首から肩にかけてのラインがシオンの胸を高鳴らせ、彼女は目のやり処に困って顔を背けた。

「疲れたか。もう休め」

いうなりファルは、入り口付近に座って壁に寄りかかると、剣を自分の肩に立て掛けるように置いて腕を組んだ。

……抱き締めてもくれない。

シオンは、大きく息を吸うと、そっと吐いてから思い切って言った。

「ファル……一緒に寝よ?」

震えそうになる声を一生懸命抑えながら、シオンはファルを見つめた。

ファルは、僅かに身じろぎしたが、シオンを見ずに低い声で言った。

肩に立て掛けた黄金の剣が、カチャリと硬い音を出す。