愛してると言ったあの言葉も、あの抱擁も、情熱的なあのキスも、本当だと思いたい。

けれど。

……彼は帝国の王子だ。

敵対する白金族人間から国と民を守るためなら、何だってするだろう。

それが彼の努めだから。

途端に、呪詛のようなリラ王女の言葉が胸に甦る。


『貴女の、自分への恋心を利用する為に決まっているではありませんか。
王子はきっとこう思っておいでです。
黄金族人間に世界を預けるように、最高神オーディンに願い出て欲しいと。貴女自身の身を捧げて』


嫌だ、苦しい。

胸が押し潰されそうで、痛い。