ファルは馬の前まで来ると、地面に片膝をついて優しくシオンをおろした。

シオンはそんなファルの立ち居振舞いにドキンとして彼を見つめた。

男らしい眉に切れ長の眼。

中高で端正な顔立ちに、すらりとしているが、逞しい体つき。

怖いけど……素敵な人、かも……。

そういや、キス……。

シオンは頬がカアッと熱くなった。

「おい、山猿」

や、や、山猿……。

手綱をはずして馬を解くと、ファルはシオンの腰に手を回した。