命を捧げてくれる兵達を差し置いて、自分だけが宴に参加するなどあり得ないと。

ガイザはファルの、潔く真っ直ぐな瞳を見上げてこう提案した。

「ならば王子の大切な兵達に、酒と料理を存分に届けよう。城門前の広場と近衛兵の宿舎を開放するので風呂に入り、一晩ゆっくりとされるがよい。それでいかがかな」

ファルは、再び瞳を伏せた。

「我が兵達に対する、有り余るほどのご厚意に感謝いたします」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その夜は宴と化した。

城門前の大広場でファルの兵達は野営を組み、開放された近衛兵の宿舎の風呂で汗を流した。

ファルは兵達に対する手厚いもてなしの手前、ガイザ王との酒を断れず、仕方なくアルゴ、マーカス、ジュードを連れて宮殿へと赴いた。