「どうした?」

「私が」

私が、何の力も持たない人間でも好きでいてくれる?

私が、『七色の瞳の乙女』じゃなくても、愛してくれる?

シオンは口をつぐんで首を振った。

……やめよう、そんな質問は。

……だって、それだけじゃないんだもの。

これからもその剣で戦うの?

これからも、ずっと。

「ごめん、なんでもない」

「なんだ、言え」

……言えない。

シオンは咄嗟に思い付いた事を口走った。

「あのね、私、ひとりで馬に乗れるようになったのよ。
覚えてる?ファルと一緒に馬に乗ったとき、怖くて怖くて死ぬかと思ったけど」

そこまで言った時、ファルがシオンを至近距離から見つめると、不満そうに瞳を光らせた。