そこまでしか言えなかった。

一歩踏み出したファルがシオンを抱き締め、僅かに視線を絡めた後、口付けたからだ。

「っ……」

間近に迫ったファルの顔、柔らかな唇。

大きな熱い身体。

僅かに唇を離すと見つめ合い、再び口付ける。

ふたりは夢中でキスをした。

何度も何度も口付けては見つめ合い、抱き締め合った。

「あの、ファル」

一瞬唇が離れた瞬間、シオンは吐息と共にファルの名を呼んだ。

「……ん?」

金色の瞳が甘く光る。