「死んだ?」

アイーダがか?

シオンはホッと息をついてから頷いた。

「カイルが殺したの。アイーダが私を殺そうとしたから……」

言いながらシオンは、アイーダの短剣がかすった肩の傷跡を押さえた。

ファルは苦しかった。

アイーダがシオンを殺そうとしたのは、俺のせいだ。

俺がアイーダを拒んだから、あの女の殺意がシオンに向けられたんだ。

シオンはファルの辛そうな顔を見ていたが、静かな声で言った。

「そんな顔しないで。私は大丈夫だから」

それから唇だけで笑った。

「素敵な指輪をありがとう。今度は無くさないように大切にす」