この女、やはり『七色の瞳の乙女』か…!

ファルは無言でシオンを抱き上げた。

「きゃあっ!」

シオンは驚いて、反射的にファルの首に両腕を絡めたものの、男らしい体と体温を感じて焦った。

や、やだ、お姫様抱っこだし、この人、怖いし……!

シオンは恥ずかしさと恐怖心から、慌ててファルの首に回した腕を解こうとした。

そんなシオンを見て、ファルが短く言った。

「しっかり、しがみついてろ」

「だ、だけど」

「うるさい、山猿」

「……」

ファルは、恥ずかしそうに自分の首に腕を回し、体を委ねたシオンをそっと盗み見した。