「リーディック!!」

リーディックは急いで馬から降りると、シオンの両肩を掴んだ。

「無事だったか!良かった!」

シオンは頷きながら眉を寄せ、胸元に指を入れると服の間から小瓶をつまみ出した。

「ごめん、アーテス帝国に行けなくなったの。その代わりにこれをお母さんに飲ませて。これを飲むとお母さんは絶対よくなると思う」

リーディックは小さな陶器の瓶を両手で受け取ると、シオンを見つめた。

「……いいのか!?」

シオンは思いきり笑った。

「当たり前でしょ?!」

それから苦し気に眉を寄せた。

「本当は……苦しんでる人全てを助けたいけど……今の私には不可能なの。でも、あなたのお母さんをどうしても助けたい。
だから、これを飲ませて!蒸発しちゃわないように国に帰ったら真っ先に飲ませて!」