「お前が叫ぶからいけないんだ」

「夜まで待てなんて、いやらしい事言うからでしょ、この変態っ!」

ファルはムッとして、シオンの手首を更に強く握り締めた。

シオンは苦痛に顔を歪め、息を乱した。

ファルは、そんな彼女をまじまじと見つめる。

波打つ髪は艶のある栗色で、形のよい輪郭に大きな瞳。

すらりとした肢体は細くて柔らかく、魅力的であった。

「はなしてっ!はーなーしーてーっ!!」

…うるさくなけりゃ、かなりイイ女だ。

だが、うるさすぎて、これではただの山猿だ。