「…………」

「なんだよ、その顔」

「だって…………」

「我慢したら、何かひとつだけ希望を聞いて上げるよ」

……願いを聞いてくれるってこと?

シオンはカイルを見つめたまま、考えを巡らせた。

「……じゃあ、乗馬を教えて」

「なぜ?」

素早く切り返して問うカイルに、シオンは思わず怯みそうになったが、必死で耐えた。

「だって、風を感じたいもの」

「僕と乗ればいい」

「自分だけで乗れるようになりたいの」

カイルは唇を引き結んでシオンを見つめた。