こちらが一度崩された隊列を組み直す間を、カイルは与えてはくれなかった。

特別騎兵隊の数が、圧倒的に違っていたのも敗因だ。

ファルは、自室に戻るのをやめて、マーカスの部屋を目指した。

必ず奪還する!

ケシアの都も、シオンも!

身体中の血が熱くたぎった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

翌日すぐさま、ニア帝国とロー帝国に使者が向かった。

7日後、使者が朗報を携えて帰ってきた。

ニア帝国は、こちらに恩があるし、忠実な同盟国である。

ロー帝国は白金族人間に奪われたメルの都奪還に燃えていたので、二つ返事で兵を貸すと約束した。