それに反して、ファルの軍はかなりの痛手を負っていた。

戦略的には間違っていなかったはずだ。

正直、ロイザを連れていけないのはキツい。

ロイザは、敵の動きを先読みする能力に長けている。

それゆえに、皆の身代わりとなったのだ。

……カイルが、曲者だ。

アイツさえ倒せば、白金族人間など恐るるに足らぬ筈だ。

ファルがみたところによると、カイルは何もかもがずば抜けていた。

剣の腕が超一流であるのは、いうまでまもない。

それに加え、隊列の組み方を見定めて瞬時にそれを切り崩す判断能力、敵は元より、味方に対しても無駄な情けを持たない冷酷さ。

それらを備えているカイルが目の前に現れた途端、形勢逆転され、ファルの率いる軍は散り散りにされたのだ。