ロイザは天井を見つめてギュッと眉を寄せた。

「僕はいつだって、ファルのお荷物だ。僕は……弱い」

ファルは瞳に優しい光を浮かべて、ロイザの頭をクシャリと撫でた。

「お前は弱くない。お前がいなかったら、あの時、俺もアルゴもジュードも死んでた」

「じゃあ……僕、少しは役に立てたのかな」

「少しじゃない。凄くだ。……もう休め。ケシアは必ず奪還する。
お前はなにも考えず、傷を治すんだ」

ロイザはフワリと微笑んだ。

兄のように慕うファルの言葉に救われ、自分の価値を信じようと思ったのだ。

「ありがとう、ファル」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

自室に戻りながら、ファルは唇を引き結んだ。

父王ダグダの軍は、疲労の色すら濃いものの、ほぼ無傷である。