「……シリウスが、この事を知らないなら話は別だけど」

「やっぱり出掛ける」

ファルは、我慢できなかった。

一目でもいい。

遠くからでもいい。

「シオンの顔が見たいんだ」

絞り出すような、苦しげなファルの声に、全員が胸を突かれて黙り込んだ。

暫くの後、重苦しい沈黙を破ったのは香だった。

「しっかりしなさいよ!シオンだって頑張ってるのよ?
……シオンは言ったわ。今度会うときには、馬に乗れるようになってるって。
あなたに会いたいからでしょ?!
だから私達も、自分達が出来ることを一生懸命やるのよ」