「血か……ほかには何かないのか?」

アルゴが、ガツガツと肉を食べながら尋ねた。

「七色の瞳の乙女の涙は、怪我や病気に効く。ただし、自分以外の者にしか、効かない」

アルゴが眼を見張った。

「すげえな」

「まだあるわよ。
……七色の瞳の乙女を神に差し出すと、世界を手に入れられる」

「本当か?」

ファルが香を見つめた。

「けど、それには条件があって……七色の瞳の乙女自らが、それを望まないと無理なの。無理矢理差し出しても無駄。
……それに……」

香は物憂げな眼差しを空にさ迷わせた。

「それに、なんだ」