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「香」

夕食時、ファルは眉を寄せて口を開いた。

香が、スープを飲む手を止めてファルを見つめる。

「なに?」

「シオンには、どんな力があるんだ?七色の瞳の乙女には、強大な力があるんだろ?」

香はホッと息をついた。

「アイーダは恐らく、シオンの血を飲んで人間になった。
……七色の瞳の乙女……シオンの血は、飲んだ人間の願いを叶える。
大抵の者は『不老不死』を願う。アイーダのように人間になりたいと願う魔性もいればね。
ただ、自分の存在を変えたいと願う者が血を飲む際に、過って七色の瞳の乙女を死なせてしまうと効力がなくなる。 直接飲まなきゃダメなのよ、アイーダみたいにね。 けど、死なせると、『守護する者』が必ずその者の息の根を止める」