『七色の瞳の乙女』など、いなくなればいい。

シオンを殺してやる。

自分に、汚いものでも見るような眼差しを向けたファルなど、苦しめばいい。

守護するものに息の根を止められるなら、それもよかろう。

自分には何もないのだから。

アイーダは、涙を拭うとゆっくりと立ち上がった。

冷ややかな風が彼女の長い髪を乱暴に乱したが、それも心地好かった。

誰にも優しくなどされないと思う方が、楽に思えた。

そう、風にさえも。

「……殺す」

枯れた声で小さく呟くと、アイーダは唇を引き上げた。