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「うわあああっ!!」

アイーダは、思い切り泣いた。

腕輪の力を使い、無我夢中でジュードヘイムへと帰ってきたものの、いっそあの場でファルの剣を身に受け、命を絶ってしまった方が楽だったのではないか。

どうして私は逃げたのだろう。

いいや、分かっている。

死ぬのが恐い訳ではなかった。

恋の絶望を目の当たりにしても尚、この先に起こりうるかも知れない、ほんの僅かな可能性を信じたかったのだ。

アイーダは、悔やんだ。

自分の浅はかさを。

ファルへの恋心が自分を支配し、焦ってしまった結果、失敗したのだ。

アイーダは、愛する女が心にいる男がどんなものか、知らなかった。