愛してる……。

ファルは、胸の中に瞬く間に吹き抜ける、暖かい風のような何かを感じた。

シオンが俺を愛していると……。

ファルはシオンの顔を思い出しながら、シオンとの間に起きたいくつかの事を思い返した。

シオンが俺を愛してる……。

ファルはしばらくの間、香の言葉を噛み締めていたが、やがて視線を感じて我に返った。

たちまち、ニヤニヤと笑うアルゴと眼が合う。

「手が早い王子様だぜ、全く」

「ほんとよねー、あっという間に」

「うるさいっ!!!」

真っ赤になったファルが叫び、香とアルゴは慌ててファルの部屋を飛び出した。

シオンが俺を。

「俺も愛してる」

ファルは、独りになった部屋で、そう呟いた。