シオンはそっとカイルを見つめた。

確実に眼が合ったが、そらされてしまった。

「カイル」

シオンは小さく呼んだ。

「……なに?」

カイルのかすれた声が返ってきた。

「縫ってくれたの、カイル?」

「……うん」

『ありがとう』とは言いたくなかった。

刺したのは、カイルの仲間、白金族人間の王だ。

礼を言うなど愚かでしかない。

けれど。

「ありがとう」

カイルは息を飲んだ。