ああクソ!

何で彼女の気持ちを無視して、無理矢理口付けてしまったんだ。

……分かってる。

シオンの心に、俺以外の男がいるからだ。

カイルは、胸が焦げるような気がした。

どうして、ファルより先に俺と出逢わなかったんだ!

俺が先なら、シオンの心は俺のものだった筈だ!

カイルは、焦げ付いた胸に、一つの赤い点が生まれ、瞬く間に嫉妬という名の炎と化して心の中で燃え盛るのを感じた。

……渡さない。

シオンは渡さない!

誰にも、そう、誰にもだ!

カイルは静かに息をはくと、ゆっくりと立ち上がった。