アルゴは、静かな夜を思わせるような声で香に言った。

「香……俺がお前を守ってやる。痛みからも、悲しみからも」

アルゴの太い腕の中で、香は僅かに身じろぎした。

痛みからも、悲しみからも……。

「お前、頑張ってきたんだな」

折れそうな程、華奢な身体。

アルゴはフワリと香を腕に抱いて、その髪に顔を埋めた。

「……っ」

なによ、この男は……。

守られる訳にはいかない。

私は『守護する者』だ。

けれど。

けど、この逞しい腕に囲われてると安心する。

香は眼を閉じてアルゴの胸に頬を寄せた。

「おやすみ、アルゴ」

アルゴは返事を返しながら思った。

完全に惚れた、この女に。