「そのシリウスは、生まれ変わる前の、私の恋人だったわ」

「ホントかよ!?」

香は仰向けになって、明るい月を見つめた。

「……どうやら、この世界でも、結ばれないみたい」

「今も愛してるのか」

「……分からない。でも、彼を見た瞬間、涙が溢れた」

アルゴは香の横顔を見つめた。

切な気だが、潔く、曇りのない眼差し。

きっとこの女は、すべてを犠牲にして守ってきたのだ、『七色の瞳の乙女』を。

アルゴの胸が痛いほどギュッと軋んで、彼は堪らず香に腕を伸ばして思いきり引き寄せた。

「なによっ」

「俺が守るよ、お前を」