「バカじゃないの?そんな訳ないでしょ!あなた臭いの!それに私もね!おまけに二日間馬を飛ばして思ったけど、夜は凄く冷える。身を寄せて眠らないと体調を崩すわ」

おお、そういう事か。

冷静に考えたら分かりそうなものだが、今のアルゴにそれはなかった。

こんないい女にそう言われて、舞い上がらない男がいるのか。

「泉ならここから直ぐだ。半マイル程もかからない」

「じゃあ行くわよ。今夜はそこで寝ましょう」

……泉で身体を洗い、ふたりで身を寄せて眠る……。

命を張って敵と闘かった褒美か、これは。

アルゴは香に見つからないように、軍神マルスに祈りを捧げた。