「姉様、今日城へ来た女……アイーダをご存じですか?」

女中長サリは、実の姉である巫女長レイアの部屋へ出向くと、こう切り出した。

「ダクダ王へ遣いの者がきたのを見ました」

「その女です。全身が汚れていて身体中に治りきっていない傷が無数にありました」

レイアは自室に香を炊きながら、軍神マルスの像を仰ぎ、胸の前で両手を組んだ。

「その女がどうしたのです?」

「行動に不審な点があります」

レイアはサリを振り返って、落ち着きのある声で尋ねた。

「どの様に?」

サリは、アイーダとの会話や、態度を詳しくレイアに話した。

「いちど、私が見てみましょう」