ファルがアイーダの膝をすくうように抱き上げると、短く言った。

「俺の部屋へ来い」

アイーダは早鐘のような心臓を感じながら、聞き間違いではなかろうかと、間近に迫ったファルの男らしい顔を凝視した。

ああ、これは……。

このまま、ファルの部屋で、私は一体何をされるのか。

私の体を目の当たりにし、ファルの恋の情念に火がついたのでは。

甘く囁かれ、今夜の相手に選ばれるのではないだろうか。

剣の腕はかなり上級であるファル。

そんなファルは、寝台の中では一体……。

アイーダは甘い目眩に眼を閉じた。

期待で胸がはち切れそうであった。