アイーダは安堵した。

運良く城内に入り込めたし、ファル自らが女中長に職を掛け合ってくれたのだ。

女中長のサリは面食らいながらも、アイーダに問いかけた。

「何が得意なんです?キタラ琴は弾けますか?詩は?歌は?文字を美しく書けますか?」

キタラ琴なら得意だ。

けれど。

ファルに触れていたい。

ファルに出来るだけ近付き、この身体を見せつけ、煽りたい。

アイーダは、微笑みを絶やすことなく女中長サリに告げた。

「マントのヒダ付けや、指圧が得意です」

サリは、唇を引き結ぶと静かにアイーダを凝視した。