「これ以上は本人からそれとなく聞いて。私、ファルに殺されたくない」

アルゴは香を見つめた。

「お前じゃなくてよかった!ファルが相手だと勝ち目がない」

「なに、本気で口説いてるの?」

丘に登りながら香がチラリとアルゴを見ると、彼は軽く頷いた。

「この一件が、片付いてからにしようと思ったが、我慢できなかった」

「馬はどこ?」

「おい、口説いてる相手の話を聞け」

「それどころじゃない」

……まあ、そうなんだが。

狼狽えるアルゴを見て、香はクスッと笑った。

「さあ、帰るわよ、リアラへ」