暗闇の中を歩きながら、香はアルゴに聞いた屋敷の間取りを思い描いた。

とにかく、一日か二日は、身を潜めなければならない。

それと、出入りが可能な目立たないルートを確保したい。

今日のところは、潜伏できる場所を探そう。

……あぁ、そう言えば。

『王ダグダの屋敷には隠れられる場所が沢山あるんだ。たとえば、炊事場の天井に格子が嵌め込んである部分がある。そこは、貯蔵庫だ。乾物や、干した食料を蓄えるちょっとした部屋になっている。お前なら十分隠れられる』

香は、アルゴの言葉を思い出して足を止めた。

炊事場がいい。

北側の出入り口からも近い。

振り返ると、すでにアルラの姿はなかった。

踵を返すと、香は再び炊事場へと歩を進め、アルゴの言葉通り天井の格子を開けた。