炊事係の部屋は、食堂の真向かいであった。

「炊事係は約20人いますが、半数は女で、同じ部屋で生活しています」

「なら、遠慮しとく」

白金族人間と、香の見た目は違いすぎる。

紛れることは不可能だ。

「では……せめて、服だけでも。すぐにとってきますから、炊事場で待っていてください」

「ありがと」

アルラはすぐに炊事場へと帰ってきた。

服を手渡しながら、アルラは眉を寄せてカオルを見つめた。

「カオルさん、どうぞご無事で。あなたの事は他言しません」

「ありがとう」

香は、凛とした笑みを浮かべてアルラを見ると、闇に紛れながらその場を離れた。