「あなたは、食事係?」

「はい。私の名はアルラといいます。食事係りは20人程いますが、今日はもう引き上げました。火の始末はいつも私の仕事で……」

「で、この守衛の男に狙われてたって訳ね」

香は、床に伸びている男の脇腹を軽く蹴飛ばした。

「……」

「アルラ」

「はい」

香はアルラの瞳を真っ直ぐに見て静かに言った。

「七色の瞳の乙女……シオンを救い出すのを、手伝ってくれない?
私は、シオンさえ助けられたらすぐに去る。
白金族人間に恨みはないし、戦にも興味はないの。あなたに迷惑はかけない」

アルラは一瞬眼を見開いたが、頷きながらしっかりとした声で言った。

「分かりました。お手伝いします。あなたは、恩人ですから」