「偶然だけどね。一か八かで屋敷の北側……ここに来たら、入り口の守衛が中に入るのが見えたから。
私はここに囚われている友人を助けに来たの」

アルラは、息を飲んだ。

「もしかして友人とは……『七色の瞳の乙女』ですか?」

香は頷いた。

「彼女の名前は、シオン。そして私は『守護する者』」

「!!!」

途端、アルラが床にひれ伏した。

「あなたが、守護する者……!」

「顔を上げて」

アルラは、ひれ伏したまま、声を震わせた。

「ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!」

香は、床に膝をついたままのアルラを立ち上がらせると、辺りを見回しながら声をひそめた。